避妊・去勢手術をしよう!犬の生殖器の病気

避妊・去勢手術をしよう!犬の生殖器の病気

愛犬に避妊・去勢手術はしていますか?そういった手術は望まない妊娠を予防するだけではなく、病気の予防になることも知られていますよね。では具体的にどんな病気のリスクがあるのかを今回はご紹介していきます。オスとメスでの違いにも注目です。


オスとメス、発情期の違いは?

大型犬では遅いこともありますが、犬は一般的に生後1年未満で繁殖が可能な体になると言われています。メス犬の発情周期は発情前期・発情期・発情期休止期に分かれ、出血があるのでわかりやすくなっています。

出血は長いと1か月ほど続くこともあり、発情期に入って5~20日程度、オス犬を受け入れる状態になります。オス犬は発情期のメス犬がいればいつでも交配が出来ますので、この期間にドッグランなどへは行かないようにすること、そして多頭飼いでも望まない妊娠に気を付けることが重要です。

この発情期はオス犬もメス犬も手術で防ぐことが出来ますが、それ以上に手術は生殖器の病気を予防することが出来るので、多くの獣医師さんがすすめていることでもあります。それでは、今回は「犬の生殖器の病気」について知っていきましょう!

メス犬の生殖器の病気とは?

まずは女の子から。全ての犬種にリスクがあり、高齢であればあるほど発症する可能性も高まります。出来るなら避妊手術をしてあげることが一番ですが、もし発症してしまった場合には緊急性の高い病気なので早期に治療してあげましょう!

子宮蓄膿症

メス犬の生殖器でもっとも可能性が高くなる病気は「子宮蓄膿症」と呼ばれるものです。この病気の症状は以下に挙げられます。

・水を多く飲むようになる
・頻尿
・元気がなくなり、食欲もなくなる
・発熱

この他、症状がすすむと…

・腹部が大きくなる
・陰部から膿

などの変化が見られ、陰部の膿が溜まった状態や菌が全身に回ってしまうなどで悪化すると、全身の病気につながります。命にも関わることですので、こういった変化が見られた場合には、すぐに病院へ行きましょう。

原因と治療法は?

この病気はホルモンとの関係が非常に深い病気です。他の動物にはあまり見られないことですが、メス犬は生理期間が終わったあとにも黄体ホルモンが数か月作用します。この結果、妊娠しないと子宮内膜がとても分厚くなり、細菌が繁殖するのにベストな環境となってしまうのです。

これは通常は異物であるものも、妊娠の可能性がある場合には排除するわけにはいかず、子宮まで菌が簡単に届いてしまうからです。ただ、この環境は出産できれいに戻るので高齢までに出産経験があれば可能性は低くなります。

膿のたまった子宮は取り除かないと完治しませんので、治療は子宮摘出手術を行うようになります。高齢での発症が多いので、完治のための手術にもリスクが伴ってしまい難しいこともあります。

オス犬の生殖器の病気とは?

オス犬に関しても、メス犬同様全ての犬種に可能性の高い病気があります。メス犬以上にリスクも高くなりますので、去勢手術をせずに5歳を過ぎたら気をつけて見てあげましょう。

前立腺肥大症

耳にしたことがある方も多いであろうこの病気。実は前立腺は成長期を過ぎても大きくなり続けていく不思議な臓器のひとつです。そのため高齢になればなるほど、発症の可能性は非常に高まります。膀胱と尿道の間にある前立腺が大きくなってしまうと、尿が出にくくなります。炎症も起きますので、痛みも伴います。

・尿道から膿や分泌物
・お腹を押すと痛がる
・元気が無い、食欲も無い

こういった症状が現れたら、すぐに病院へ行ってください。細菌感染のリスクも高い状態なので、前立腺に腫瘍が出来たり、膀胱炎といった病気につながることもありますよ。

原因と治療法は?

前立腺が大きくなることの、はっきりとした原因は分かっていません。しかしメス犬同様にホルモンバランスが乱れることが関わっているようで、去勢手術でほぼ防ぐことが出来ると言われます。

治療法は症状の度合いにより、ホルモン剤など薬剤の投与で完治することもありますが、前立腺の摘出手術になってしまうこともあります。去勢手術をすればほぼ100%の確率で完治が可能になります。

小型犬は注意!潜在精巣

遺伝的が原因が大きく、睾丸がきれいに収まらない状態を指し、症状は無く精巣腫瘍の原因になるのが非常に怖いものです。なるべく早い段階で去勢手術を受けることが一番の予防となり、しない場合の精巣腫瘍が出来る確率はなんとおよそ10倍にも!

犬を迎える前に家族で話し合おう!

もちろん、可愛い愛犬の子どもが見たいのも自然な気持ちだと思います。またブリーダーさんなど、人間の手助けによってその命のつながりを途絶えさせないことも大切ですよね。しかし、望まない妊娠は犬にとって最も悲しい結果を招きかねません。

そして繁殖の予定が無いのにも関わらず体をその状態にしておくことは、今回ご紹介したような様々な病気の大きな原因となってしまいます。そしてその予防をすることは飼い主になって最初に果たす責任かもしれません。避妊・去勢手術はお金のかかることですので愛犬を迎える前にはご家族できちんと話し合いましょう。そして愛犬が一番幸せに過ごせる方法を選択してあげてくださいね。

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