2017年01月17日

捨て猫拾った!でも飼えない。猫の里親さんを見つける方法

捨て猫を保護したけれど自分で飼うことが出来ない場合は、ご自身で里親さんを見つけてあげましょう。里親さんを探し方や、注意する点について動物保護施設元職員が解説します。


里親さんを探す前にしておきたいこと

飼い猫ではないことを確認する

明らかに捨て猫や母猫とはぐれた子猫ではない場合には迷子猫の場合もありますので、まずは飼い猫ではないかどうかを確認しましょう。
純血種の猫の場合には飼い猫の可能性が高いです。

・動物病院で迷い猫であることを伝え、マイクロチップが入っていないか確認
・近隣に迷い猫のポスターがないかを確認する
・猫を保護している旨をチラシなどで近隣の動物病院などに貼らせてもらう
・動物愛護センター、警察署に知らせる
・ネットの迷い猫掲示板の検索と登録を行う

離乳

保護した子猫がまだ離乳していなかった場合、大変ですが、離乳するまでは頑張って育てましょう。
どうしても難しい場合は、ご近所やお知り合いで、離乳前の子猫の飼育経験がある方の中で里親さんを探すのがよいでしょう。

里親さんを探すのは、少なくとも1ヶ月齢以上で、一回はワクチンが終了してからが望ましいでしょう。

1.5ヶ月齢〜4ヶ月齢くらいまでが、猫も新しい環境に慣れやすく、また子猫らしい時期のため、最も里親さんを見つけやすい月齢です。

健康診断

保護した子猫は、動物病院で健康診断をしておきましょう。
外で保護した猫は何かしらの感染症にかかっている場合が多いです。
猫風邪、皮膚病、下痢や軟便など、何かしらの症状があれば、治療してから里親さんをみつけましょう。

FIV(猫エイズ)、FeLV(猫白血病)のウィルス検査も終了していれば、先住の猫がいるご家庭でも里親さんになってくれやすくなります。
ただし、万一陽性だった場合は、里親さんが見つかる可能性は低くなるでしょう。

駆虫(ノミ、ダニ、内部寄生虫など)

外にいた猫はノミや回虫など、何かしらの寄生虫がいることが多いです。
動物病院で、駆除をして貰いましょう。

ワクチン接種

2ヶ月齢を超えていたら一度ワクチンをしておきましょう。
1ヶ月齢で里親さんを探す場合は、1ヶ月齢でもワクチンをしておいた方がいいでしょう。

不妊去勢手術(生後4〜5か月齢以上の場合)

おおよそ5ヶ月齢を超えたら、不妊去勢手術は終了してから里親さんを探すのが望ましいでしょう。

里親さんの探し方

知人、友人に声をかける

やはり、知り合いが一番信頼できるかと思いますので、まずは知り合いで飼える方がいないか声をかけてみましょう。
SNSなども出来るだけ活用しそのまた知り合いに声をかけて貰えば、見つかる可能性があります。

動物病院などにチラシ、ポスターを貼らせてもらう

動物病院、ペット用品店、スーパーの掲示板などに、里親探しのポスターを貼らせてもらうよう、頼んでみるといいでしょう。
近所の方に里親さんになって貰える利点があります。

里親掲示板を利用する

ネット上の個人の里親探しを仲介する掲示板があります。
複数の里親サイトに登録してみましょう。

情報を掲載したら、メールのチェックを忘れないようにしましょう。
迅速に対応することで、信用度が上がります。

■里親掲示板リンク

犬、猫、里親さがし「いつでも里親募集中」〜ペットショップ保健所へ行く前に〜

http://www.satoya-boshu.net

犬、猫、里親(飼い主)募集掲示板です。ペットショップへ行く前に、そして保健所へ行く前に是非ご覧ください。

猫の里親募集情報 :: ペットのおうち【月間利用者150万人!】

http://www.pet-home.jp/cats/

猫の里親募集情報ペットのおうちには全国の動物保護団体・法人・個人から、猫の里親募集が届いております。殺処分を減らすため、ペットショップで購入を考える前に「猫の里親になる」という入手方法を是非ご検討下さい。

動物保護団体に協力を依頼する

動物保護団体は、常に限界の頭数を収容しているため、保護してもらえることは望まないほうがいいでしょう。
多くの施設は、行政で殺処分直前の動物の保護を優先しています。

HPをみると、個人からの受け入れについて記載があるところが殆どなので、問い合わせる前に必ず確認しましょう。

受け入れは行っていなくても、里親の探し方などについては相談を受け付けている場合があります。
ご自身でもネットなどで情報を出来るだけ集めた上で、ノウハウを教わるために協力を依頼する方法はあります。

春から夏は、どこの団体も一杯なので望めませんが、子猫の少ない冬の一定期間であれば、個人からの受け入れを行っていることも稀にあります。

ただし、HPなどで個人からの受け入れを行っていないと明記されているところに、無理強いをしてはいけません。

よくあるのが、「保護してもらえないなら保健所に連れて行く」などと半ば脅してくる人です。
もしも無理強いしてその子猫を保護してもらったとしても、その保護施設は、その分、他の猫の保護ができなくなるということです。
目の前の命は助かった気がするかもしれませんが、その影響は他のところに確実に出ます。

保護猫カフェや保護団体の開催する譲渡会に参加できる場合もありますので、積極的に探してみましょう。

とても大変ですが、助かる命を助けるために、保護したら里親を探すところまで頑張りましょう。

里親さんを見つけるコツ

猫を飼いたいと思っている人が、どんな情報を知りたいと思っているかを考え、その情報を掲示板などに記入するようにしましょう。

保護した時の状況、これまでの経過を記載する

健康状態は里親を希望される方が大変重要視する点ですので、保護した時の状況やその時の健康状態から、現在の健康状態などを記入しましょう。

また、駆虫やワクチンなど、終わっていることは記載し、引取り後に何をする必要があるのかわかるようにしておきましょう。

性格をアピールする

もちろん、どのような性格であっても受け入れてくれるような方がベストですが、里親となる方にとって「選ぶ」というのはとても難しく、見た目や性格が迎える猫を決定する材料となることが殆どです。
人懐っこい、抱っこが大好き、シャイ、やんちゃなど、分かる範囲のことは記載しましょう。
兄弟がいたかどうかも、その後の性格に影響が出るので、必ず書きましょう。

また、もし女性だけが子猫と接していた場合、男性の里親さんに譲る時には注意が必要です。
猫は女性の高い声を好む傾向があるので、全く男性と接したことがないと、初めて接する男性に対し、恐怖心を覚えてしまうことがあります。

里親さんを探すことが決まっていたら、小さいうちに、出来るだけ多くの人と接しておいた方がいいでしょう。

写真はかわいく

見た目は大変重要です。
特に写真しか判断材料がない場合には、出来るだけ可愛い写真を選んで掲載しましょう。
折角可愛い子でも、写真がいまいちだとなかなかお声がかかりません。

動画を撮って、動いているところを見てもらえれば尚いいでしょう。

里親さんを探す際に注意したいこと

よい里親さんを探す

ネットの掲示板など、全く見知らぬ人相手に里親さんを探す場合、一番難しいのが、よい里親さんを見極めることです。
貰ってくれれば誰でもいい、と安易に渡してしまわず、信頼できる、責任感のある里親さんを見つける努力をしましょう。

転売目的や虐待目的の他、結婚や出産、転居、猫がいうことを聞かないなどの身勝手な理由で簡単に猫を捨てる人がいます。

募集の際には簡単に条件を記載する

募集の際には、最低限の条件は記載しておきましょう。
条件の例としては下記のようなものがあります。

・完全室内飼育をする方
・不妊去勢手術のお約束を頂ける方(まだ終わっていない場合)
・ペット可の物件に住んでいる方
・ご家族全員の同意がある方
・お一人暮らしや60歳以上の方はお断りする場合がございます。
・猫はこちらからお届けします。

など。

記載するスペースや、掲載媒体などにより、最低限のことだけを記載し、詳しくはメールでのアンケートや、直接お会いして確認するのがよいでしょう。
お渡しする前には、必ず一度直接会いましょう。

また、里親を希望される動機は必ず確認しましょう。

里親さんになっていただく方のチェック事項

メールでのアンケートや直接会った際などに、応募された方の飼育環境や、人柄を見て、猫の命を委ねることが出来る方であるかを判断しましょう。
下記にあげたポイントを確認するとよいでしょう。

色々なことをお尋ねすることになるので、相手が不愉快な気持ちにならない様、丁寧に低姿勢に接し、立ち入ったことまでお尋ねすることに予め了承していただくとよいでしょう。

【1】ペット可の物件に住んでいること

ペット不可だけど他にも飼っている人がいるから大丈夫、という場合も、いつ物件のオーナーやご近所とのトラブルになるかが分かりません。
必ずペットの飼育が可能なお住いの方に引き取って貰いましょう。

【2】家族全員の同意があるか

引き取ってから家族に反対された、と戻されては猫に負担になってしまいます。
お会いする際には出来るだけご家族全員にお会いできるといいでしょう。

【3】留守番時間や家族構成

特に環境が変わってすぐは体調を崩しやすくなる為、免疫力の低い子猫のうちは出来るだけ一緒にいられることが望ましいです。
里親さんの留守番時間が長い場合は、3ヶ月齢以上になってからお渡しするのがいいでしょう。

また、小さな子どもがいる場合は、子猫はお渡しするのは見送った方がいいでしょう。
猫をおもちゃの様に扱ってしまうことがあります。
お渡しする場合は、保護者が子どもをしっかりと見ることが出来る方かを確認しましょう。

猫が20年生きた場合を考え、60歳を超えた方にお渡しする場合は、必ず後見人となる方にもお会いして、誓約書を交わしましょう。
一人暮らしの場合も同様にするのがいいでしょう。

高齢の方の場合は、遊び盛りの若い猫は飼育が負担になることがありますので、その点も注意が必要です。

若い方は、今後仕事や生活、同居する人間が変化することが多い為、その様な変化があっても、猫を手放さない方かどうかを見極めましょう。
なお、経済的に自立していない学生さんにはお渡ししてはいけません。

【4】経済状況

一頭飼育するのには、フード代やトイレ砂などの消耗品費の他、ワクチンや健康診断、医療費などがかかります。
一年間に10数万円の支出は見積もった方がいいでしょう。
もしも経済的に余裕がない場合は、病気の時に病院に行くのを躊躇したり、ワクチン接種をさせなかったりする可能性があります。

また、経済的に困窮する可能性がある場合は、飼育放棄に繋がりますので、難しいですが、しっかりと見極めましょう。

【5】猫の飼育経験、知識、現在飼育している頭数

猫の飼育経験がある方には、これまでどの様な飼育の仕方をしていたかを聞きましょう。
不妊去勢手術をしていなかった方や、外飼いをしていた方は、今後どの様にするか尋ねる必要があり、場合によっては見送りましょう。
また、猫が亡くなったり行方不明になった場合は、その経緯も聞きましょう。
それによって、どの様な飼い方をする方かが分かることがあります。

猫の習性についてあまりに無知な方へはお渡ししてはいけません。
猫を飼おうと思っているならば習性について調べているべきですし、それをしていない場合は、飼ってから、やはり飼えない、ということになりかねません。

猫をすでに多頭飼育している方は、注意しましょう。
アニマルホーダー(動物コレクター)である可能性もあります。
色柄にこだわりがある場合は特に注意が必要です。
3頭以上飼っている方にはお渡ししないのが無難でしょう。

先住の猫がいる場合は、ワクチン接種、不妊去勢手術、ウィルス検査をしているか、室内飼育をしているかなどを確認しましょう。
先住の猫が受け入れてくれるかという問題がある為、少し難しくなります。

【6】猫を飼いたい動機

動機はとても重要です。
子どもの為、同居の母が寂しいと思って、など、家族の為に飼おうとしている場合は、ペットを「癒してくれるぬいぐるみ」の様に考えている可能性がありますので気をつけましょう。
思い通りにならない時、飼育放棄につながる危険があります。
また、「子猫」であることにこだわる場合や、色柄、見た目、性格にこだわりのある場合も同様です。

【7】終生責任を持って飼育するか

何があっても家族の一員として手放さないで飼育できる方にお渡しするのは勿論ですが、
生きていれば何が起きるはわかりません。
どうしても飼えなくなってしまった時にも、責任を持って、猫の新しい居場所を探すことが出来る方にお渡しする様にしてください。

誓約書の取り交わしと、不妊去勢手術について

猫を里親さんに渡す際には身分証の確認をした上で、誓約書を交わして、飼育環境の確認の為に、里親さんのご自宅まで猫を届けましょう。

また、猫を渡す前に不妊去勢手術が終わっていない場合は、必ず新しい飼い主さんの元で手術を行う取り決めをしましょう。

【誓約書の例】
http://www.satoya-boshu.net/seiyaku.htm
(「いつでも里親募集中」より)

まとめ

保護して、育てて、里親さんを探すのを個人で行うのは、大変なことに思えるかもしれません。
ですが、人に慣れた若い子猫であれば里親さんは見つかります。

「保護したものの責任」というのはあまりに大きいですが、目の前に見捨てられた命があったとき「自分は飼えないから安易に手を出すべきでは無い」と躊躇せずに、手を差し伸べることの出来る世の中にしていきたいですね。