通常の犬の目やにの状態は?
■茶色がかった黒い目やに
犬の目のふちに茶色や黒くこびりついている目やには、通常の目やにですので病気の心配はあまりありません。気になったらガーゼやティッシュで優しく取り除いであげましょう。
目やにとは、元々目にホコリやゴミ、老廃物が入り込み粘液と混ざり合ったもの。時間が経つとやがて粘液状の目やには乾燥して、老廃物の黒っぽい色合いに変化するのです。
ただし、黒や白でも頻繁に取り除かないとすぐに溜まってしまうという場合は注意が必要です。目に何らかの異常が起きている可能性があるため、一日放っておいただけで目やにが溜まるという場合は動物病院で確認してもらいましょう。
■白いめやに
白く透明な目やにも、黒と同じく通常の目やにです。しかし、目やにの分泌量はその犬によって違いがあり、もともと目やにの量が多い犬だと涙やけを起こして目の周りに跡になってしまうことも。
一度涙やけの状態になってしまうと、日頃のお手入れだけではきれいに落とせなくなるため、予防するには日頃のケアが欠かせません。
黄色や緑の目やにには注意!
黒や白の目やにではなく、黄色や緑がかった目やにの場合は感染症の可能性が考えられます。放っておくと視力が低下したり、最悪失明したりするケースもあるため、この場合は早めに動物病院へ連れて行ってあげましょう。
犬の目やにがひどい時に考えられる病気とは?
それでは、具体的に犬の目やにの色が異常だったり、分泌量が多かったりした場合、どんな病気が考えられるのでしょうか?
■結膜炎・角膜炎
犬の目やにや涙の量が多くなり、透明や黄色っぽい状態になります。他にも犬が前足で目をこすったり床にくくりつけたりするなど、目を気にするような動作を行う症状が見られます。
角膜炎や結膜炎は、角膜が何らかの原因で炎症が起きてしまう症状のこと。目の表面だけの傷の場合もあれば、角膜の深層部分まで傷がついていることもあります。どのあたりまで傷がついているかは、病院で確認してもらい治療方法を検討するのが一般的です。
角膜炎になる原因は、シャンプー、被毛や細かいゴミが目に入るなどの外因性のもの。アレルギーなどの内因性のものがあります。
■ドライアイ
犬の目やにが黄色くドロドロしたような状態になります。涙の量が減ってしまい目が乾いた状態になっているため、まばたきの回数が増える、物を見つめる時にまぶしそうに目を細める症状が特徴。
他にも充血が見られることがあり、症状が進むと角膜炎や結膜炎など他の疾患を併発するリスクが高くなります。原因は高齢化による涙の分泌量の低下、病気の後遺症などさまざまです。
■ブドウ膜炎
ドライアイと同じく目が充血して、目やにが大量に出てくる症状があります。これは眼球の内部に血管が集まっているブドウ膜が炎症を起こした状態のことです。
原因は主に寄生虫やウイルスなどに感染することや、ワクチンによる副作用などが中心。他にも先天的にブドウ膜炎にかかりやすい犬種もおり、ゴールデンレトリバー、シベリアンハスキー、サモエドなど大型犬に多い疾患です。
■目瞼内半症(がんけんないはんしょう)
まぶた(眼瞼)とまつげが、目の内側に入り込んだことで角膜を傷つけてしまう状態。目やにや涙の量がとても多くなり、目をかゆがって前足でこするような症状が見られます。
常に逆さまつ毛の状態になっているので、角膜が刺激を受けて角膜炎や結膜炎の原因になります。ゆっくりと症状が進行していくので早期に発見しづらく、よく観察してみるとまつげが目に入り込んでいるのが確認できるでしょう。
犬の場合は眼球に触れるまつげを全て抜いたり、被毛をまとめて剃ったりすることで症状の改善が期待できます。重度になると手術による整形の治療を行うケースもあります。
犬の目やにへの予防・対処法は?
■目の周りを清潔に保つ
そもそも犬の目やにが発生するのは、目の周りにゴミや老廃物が付着していること。そのため、目やにを未然に防ぐにはこまめに目の周りをきれいにしておくのが大切です。汚れがつきやすい散歩の後は、濡らしたガーゼやタオルで顔周辺を拭いてあげましょう。
また、目やにがあったらまずは犬専用の低刺激の洗眼液をつけて、ていねいに洗い流してください。簡単にとれそうな目やにの場合は、ガーゼで優しく拭き取ってあげるだけでOKです。
■シャンプーや毛などが目に入らないよう注意する
シャンプーが目に入ると、成分が刺激になり目やにの量が増えてしまいます。また、被毛やまつげが目に入っても角膜に傷がついて角膜炎や結膜炎になりやすくなったりするので、十分に気を付けましょう。
普段からよく目を観察しておき、被毛やまつげが目に入っているようだったら目にぶつからないよう注意しながら取り除いてあげてください。
犬の目やにの種類、予防、対処法まとめ
犬の目やには黒っぽく、目の周りにこびりつきやすいことから、つい気にせず放置してしまう人もいます。しかし、目やにの状態がいつもと違う場合は目に傷や炎症を起こしている可能性が考えられるため、日常的に観察しておくことが大切です
目の治療のためには毎日目薬を点眼する必要があり、愛犬にとっては大きなストレスの原因に。目やにが気になったら、まずは病院を受診して異常がないか調べてもらいましょう。