2017年11月06日

視力や目の異常など…意外と知らない猫の目の不思議 

猫の目は丸くなったり細くなったり、表情のようにくるくると変わるところが魅力です。今回は、知っているようで知らない猫の目の不思議をさぐってみましょう。


猫の目の色はどうして違う?

猫の目は「虹彩」と呼ばれる部分が目の大部分を占めており、人間でいうところの白目の部分はほとんどありません。猫の目が何色に見えるかというのは、この虹彩に含まれるメラニン色素の量によって決まります。

メラニン色素が少ない順に、ブルー(青)→グリーン(緑)→ヘーゼル(中心が緑がかって周りが薄い茶色)→カッパー(赤褐色)となります。
色素の量は、その猫種の原産地の日光の量によって差が出るとされていますが、交雑の結果、現在では少し理由が違ってきているようです。
生後2~3か月の子猫の間はまだ虹彩に色素が沈着していないので、ブルーに見えることが一般的で、この現象やこの時期の目の色をキトンブルー(子猫の青色)と呼びます。
まれに、生まれつき左右の目の色が違うバイアイ(オッドアイ)の状態で生まれてくる猫もいます。

猫の視力はどのくらい?何色が見えているの?

猫の視力は、実はあまりよくありません。人間でいう「0.3」くらいの視力しかなく、遠くのものを鮮明に見る力はないとされています。
色もフルカラーで見えているわけではなく、赤色を認識することができないようです。猫は青色や黄色と、黒っぽい色でできた世界の住人です。
視力や色の差を詳細に見分けることはできませんが、猫の視野は大変広く280°ほどの視界があるので、斜め後ろにいる獲物もきっちり確認することができ、また高さや距離感をつかむことも得意だとされています。

暗闇での狩りが得意な理由は?

ペットとして飼われている猫が夜になってからや、明け方などに運動会を開催して走り回ることで分かるように、野生の猫は日没後と明け方に狩りをします。
暗がりの中で狩りが得意である秘密は猫の目にあります。
猫の目は、視力はあまりよくないものの、暗闇でもちゃんと物を見分ける力を持っています。
猫の目には、他の多くの夜行性の動物と同じように「タぺタム層」と呼ばれる部分をもっています。真っ暗闇の中で物を見ることはできませんが、この「タぺタム層」のおかげで、星明りのようなわずかな光でも効率よく光を集めて、物を見分けることができるということです。

ギャー!白目!!

猫の目には「瞬膜」と呼ばれるものがあり、乾燥や異物から目を保護する働きをしています。
猫の目が開いている時にじっくり見ると目頭の辺りに白いものが見えることがあります。それが「瞬膜」です。
通常は、猫が目を閉じている時に瞬膜が出て目を保護しています。眠気が増して来たときや、寝起きの時などに瞬膜が見えることがあり、それを知らない人は「猫が白目をむいている!!」と勘違いするかもしれません。

猫の目の気になる病気

猫の目は時々、病気を発見することにも役立ちます。具体的にどのような症状が現れたら注意したほうが良いのでしょうか。

目やにが出る

猫の目の病気でダントツに多いのが目やにです。赤みがかっている目やには、新陳代謝によるものがほとんどで特に心配は要りませんが、黄色や白色、少し緑がかっている場合は注意が必要です。
黄色や白色、緑がかっている目やには細菌感染が疑われます。
傷がついていたりアレルギー症状がある場合は、サラサラした涙が出ることもあります。目やにや涙が続く場合は、動物病院を受診するようにしましょう。

まぶたがくっついて開かない

目やにが増え、まぶたがくっついて開かなくなっている場合は、結膜炎の疑いがあります。
角膜炎を併発する可能性もあるので、発見したらなるべく早く動物病院を受診してください。
涙が多くなり、痛みを感じることからまばたきが増えたり、頻繁に手で目元をこするなどをするので、猫の様子をチェックしてみてください。

目が白く濁る

白内障になると、目の奥が白っぽく濁ったように見えます。白内障は症状がひどくなるまで気付かれないことも多く、両目に症状が出ると、猫は目が良く見えないので、壁づたいに歩くなどをして行動範囲が狭くなります。
初期で発見できた場合は、進行を遅らせることもできます。なるべく早くに気が付いてあげたい病気のうちのひとつです。

まばたきが多く、涙が増える

眼瞼内反症(がんけんないはんしょう)の疑いがある場合があります。
内側にまつげが反り返ったりすることで常に目に刺激が加わり、結膜炎や角膜炎を起こします。内側に反り返ったまぶたの形を整える手術をする治療方法が一般的です。

瞬膜が見えている

通常、猫の瞬膜は目頭のあたりに少しだけ見える程度ですが、明らかに瞬膜が出てきている場合は、動物病院を受診することをおすすめします。
瞬膜が白ではなく、ピンクや赤みがかった色をしている時も注意が必要です。
このような場合には、炎症を起こしていたり、寄生虫が寄生している、神経に異常があるなどの可能性があります。

猫の目は私たち人間の目とは構造も特徴も大きく違う不思議な器官です。
健康状態が目や目の周りのように現れることもありますので、飼い主さんは異常がないかチェックしてあげてください。独特の魅力のある猫の目をキレイな状態で保ってあげたいものです。