2017年11月06日

犬の外耳炎の予防には定期的な耳掃除が大切!自宅でもできる耳のケアとは?

犬でも人と同じように定期的に耳掃除をしてあげることが大切です。不衛生な状態は外耳炎など様々な病気の原因になることもあります。この記事では自宅でも愛犬の耳掃除ができるように、耳のケアのやり方について解説しています。


こんにちは、獣医師の明石照秋です。

垂れ耳の犬でよく発症する外耳炎。耳の外側の部分が炎症をおこしてしまい、痛みや痒みが出る病気です。
この病気の予防には、定期的に耳のケアを行い、常に清潔な状態を保っておくことが大切です。また、外耳炎にはそれ以外にも様々な原因があるのですが、いずれも愛犬の耳を日頃からチェックしてあげることで症状を軽く抑えられます。
耳の外側だけではなく、できれば耳の中まで掃除できればベストなのですが、やり方が分からない人も多いでしょうし、なにより怪我をさせてしまいそうで怖いですよね。
そんな人のために自宅で簡単にできる耳掃除の仕方をご紹介します。必要な道具があれば短時間で耳掃除を行うことができますよ。
また、どうしても自分で行う自信がない場合は動物病院で行ってもらいましょうね。

外耳炎って?

まず、外耳炎について簡単に解説しますね。外耳炎とは名前のとおり、耳の飛び出ている部分(耳介といいます)の内側が炎症をおこしている状態をいいます。
外耳炎になるとベタベタした液体が分泌され、悪臭を放ちます。また、その液体によってほこりやゴミがくっつきやすくなってしまうのでより不衛生になり、さらに病態が悪化してしまいます。
そのまま放っておくと炎症はどんどん耳の中へと波及し、中耳炎、内耳炎となり、ついには鼓膜が破れてしまうこともあります。

外耳炎を発症する原因には様々なものがありますが、耳の不衛生が一番の原因です。特に垂れ耳の犬種であるゴールデンレトリーバーやミニチュアダックスフントは外耳炎にかかるリスクが高いと言われています。
外耳炎の他の原因には、アレルギーやダニ、真菌などがあります。垂れ耳の犬は見ただけでは耳介の内側までチェックできませんから、耳掃除の際に異常がないかしっかり見ておきましょう。
外耳炎の厄介なところは非常に再発しやすいことです。一度治ったからといって耳のケアをおろそかにすると容易に再発してしまいます。そのため、定期的な耳掃除が大切なのですね。

自宅でもできる耳掃除の仕方

犬の耳掃除は耳介と耳の中の2ステップに分けて行います。

耳介のケア

まず、耳掃除に必要なものとして犬用の耳洗浄剤とコットンなどのやわらかい素材の布を用意します。犬用の耳洗浄剤はペットショップなどでも販売されているので購入しておきましょう。
コットンに洗浄剤を適量染み込ませ、耳介の内側を優しく拭いていきます。私たち人間もそうですが、耳介の内側は皮膚が弱く、少しの傷でも簡単に炎症をおこしてしまいます。そのため、コットンで擦るというよりも、汚れを拭き取るイメージで掃除してあげてください。
また、耳を持ち上げる際、真上に引っ張ろうとすると犬は痛みを感じ、嫌がります。引っ張るのではなく、後ろに倒すようにして耳介の内側を露出させるようにするとよいでしょう。

耳の中(耳道)のケア

次はいよいよ耳の中です。耳の中はさらにデリケートなので慎重に行いましょう。まず、犬が暴れないようにしっかり抑えておきます。一人でもできないことはありませんが、できれば複数人で行うほうが安全です。
次に、耳の中に洗浄剤を気持ち多めに入れます。あまり勢いよく入れすぎると犬が暴れて危険なので、ゆっくり少しずつ入れましょう。
十分な量が入ったら、耳の根本あたりを押さえ、優しくマッサージしてあげます。こうすることで耳の中で洗浄剤が撹拌され、しっかり全体の汚れを取ることができます。
マッサージが終わったら、犬の保定(暴れないように抑えておくこと)を解きます。犬は耳の中に異物を感じると頭をブルブル振る習性がありますから、これで耳の中の洗浄剤と汚れを外に出すことができます。
後は耳道の入り口や耳介についた汚れをコットンなどで取り除いてあげれば耳掃除は完了です。

耳の余計な毛は切っておきましょう

耳掃除の前に耳の内側に生えている余計な毛は切るか、抜いておきましょう。毛にはほこりなどが絡まりやすく、外耳炎の原因になってしまうことも少なくありません。耳掃除と合わせて一緒にケアしてあげるとよいでしょう。

自分でできない場合は動物病院へ

耳はデリケートな器官です。犬が暴れてしまって耳掃除ができない場合や、自分で行う自信がない場合は素直に動物病院でケアしてもらいましょう。
耳掃除のために耳を怪我させてしまい、外耳炎になってしまったら元も子もないですからね。また、耳の毛もトリマーの人にお願いすればきちんと処置してもらえます。

まとめ

最初はスムーズに耳掃除を行えないかもしれません。それでも、繰り返し行うことによって徐々に慣れてきますし、耳掃除の技量も上がってきます。まずは一度動物病院でお手本を見せてもらうのもいい方法ですね。
外耳炎や耳の病気を防ぐには耳の清潔を保つことがとても大切です。定期的に耳掃除を行って耳の病気を予防しましょうね。