犬が舌を出す理由は?ペロペロと舐めようとしてくるのはなぜ?

犬が舌を出す理由は?ペロペロと舐めようとしてくるのはなぜ?

犬を飼っている人なら、舌を出したりペロペロとしたりする仕草を目にしたことがあるのではないでしょうか。舌を出す動作はかわいらしく犬ならではの行動ですが、実はこの行動には色々な意味が込められているのです。今回は、どうして犬は舌を出すのかその原因についてご紹介します。


舌を出してハアハアするのはパンティング

犬が舌を出している時に、同時に暑そうにハアハアと息をする動作をパンティングと言います。このパンティングは体温調節が目的で、舌を出すことで暑さを和らげようとしているのです。

そもそも汗をかく汗腺にはエクリン汗腺とアポクリン汗腺の2種類があり、人は体温調節をするエクリン汗腺が全身にあるため、汗をかくだけで体温調節が可能です。それに対し、犬にはエクリン汗腺が肉球や鼻などの毛のない部分にしか存在しておらず、人と違って一度に大量の汗をかくことができません。

さらに厚い被毛で覆われているので、飼い主さんが思っているよりも暑がりで、人にとって適温でも愛犬にとっては暑い温度になっている可能性が考えられます。犬は舌を出してハアハアと呼吸をすることで、空気を口の中に取り入れて唾液を蒸発させています。

この唾液の蒸発のときの冷却効果によって体温を下げているのです。特にパグやフレンチブルドッグ、ボストンテリア、ペキニーズなどの短頭種は鼻が短いので冷却効率がとても悪いです。そのため、パンティングしても思うように体温が調節できず、熱中症になりやすいので十分に注意しましょう。

そのため、このパンティングの動作が見られたら愛犬が熱中症を発症しないよう、温度調節を行いましょう。

カーミングシグナルによるもの

カーミングシグナルとは、犬が争いや危機を避けるためや、自分の意思を相手へ伝えるときに行う表現です。たとえば、飼い主さんが愛犬の悪さを叱ったときに、犬が舌を出してペロペロと舐めようとするのは、「そんなに怒らないで」「落ち着いてほしい」という気持ちを表現しているのです。

舌をペロペロする以外にも、尻尾を小刻みに振って見せたり、耳を伏せるような行動をとったりします。

また、注意したいのが、愛犬自身がストレスを感じることで、自分の気持ちを落ち着けようと舌を出してペロペロと舐めようとしているとき。近くに自分の苦手な物や人がいた、飼い主から相手をしてもらえずストレスを感じたなどの場合、自分を落ち着けるために舌を出してペロペロと舐めようとします。

カーミングシグナルを放っておくと、ストレスから自分の脇腹や手を舐め続けて皮膚炎を発症してしまうことも。飼い主さんは愛犬の寂しいというサインを見逃さず、しっかりと相手をしてあげましょう。

歯並びや噛み合わせの影響


もともと犬の歯は舌が外に出しっぱなしにならないよう、前歯が並んで生えています。しかし、歯並びや噛み合わせが悪いと歯の間に隙間ができてしまい、そこから舌がペロッと出ていることも。

時に寝ている時は口が少し開くので、舌を出しっぱなしのまま眠っている愛犬もいるようです。眠っているだけならともかく、常に舌が出ている場合は歯周病によって歯が抜けていたり、そもそも歯が短かったりという原因が考えられます。

特に歯周病や歯槽膿漏によって歯が抜け、舌が出ているという場合は、そのまま放っておくと菌が体内をめぐり、脳や心臓病を発症するリスクが高くなってしまいます。そのため、特に原因が思い当らないのに、愛犬が舌を出しっぱなしにするようになったという場合は、異常がないか動物病院で調べてもらいましょう。

鼻水や鼻づまりの影響

犬も風邪や鼻炎などによって、鼻水が出たり鼻づまりが起きたりします。その結果、鼻で呼吸が思うようにできず、口が半開きになって口呼吸になってしまうことも。

また、鼻水が垂れてくるのを気にして、しきりにペロペロと舐めている可能性もあります。このような様子が見られたら、鼻水が大量に出ていないか、くしゃみや熱などといった他の体調不良がないかを観察し、動物病院で診察を受けさせましょう。

心臓病や呼吸器の病気の影響


注意したいのが、病気が原因で舌を出すという動作です。特に心臓病や呼吸器系の病気が進行すると、息苦しくなって舌を出してゼエゼエとパンティングの症状が見られます。たとえば夏など暑い時期でもないのに、ゼエゼエと苦しそうに舌を出して呼吸をするときは、このような病気の可能性もあります。

他にも咳込む、よだれを大量に垂らすなども心臓病や呼吸器系の病気の症状の一つですので、早めに動物病院で診察を受けましょう。特に7歳を過ぎてからの高齢犬は心臓や肺に負担がかかり、病気のリスクが非常に高くなります。

たとえば、心臓病ならフィラリア症、心筋症、呼吸器系なら、気管虚脱、急性鼻炎、鼻腔内腫瘍、肺炎など。犬は人よりも早く年をとり、病気の進行も早いので違和感があったら、すぐに治療を受けることが愛犬の健康を守る上でとても重要です。

まとめ

犬が舌を出す動作は精神的な原因もあれば、病気の可能性も考えられます。以前は舌を出していなかったのに、最近舌を出すことが増えた、呼吸が苦しそうなどの症状があれば、病気を発症しているかもしれません。

動物病院で診察を受ける際は、スマホなどを使って動画を撮影しておくと病気の診断がおりやすくなります。愛犬の健康を守るためにも、普段から様子を観察して異常が見られたらすぐに対処するのが長生きしてもらうために大切なポイントです。

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