犬のぎっくり腰について
ぎっくり腰は正式名称を「急性腰痛症」と言い、腰の周りの筋や関節や椎間板などに何らかの負荷がかかることで起こります。なんと、このぎっくり腰が起こるそもそもの原因は不明。
一度ぎっくり腰になった経験がある犬は、度々同じ症状になってしまうケースもあります。
主な症状は、次のようなものがあります。通常の腰痛とくらべてかなりの激痛のため、愛犬の様子を見ればぎっくり腰かどうかはすぐに判断することが可能です。
・お座りをしなくなった
・よく歩き回っているのにいきなり歩かなくなった
・おしっこのときに足を上げなくなった
・体に触れるのを嫌がるようになった
・お腹が痛いように背中を小さく丸めている
特にぎっくり腰は痛みから思うように動けず、お座りをしなくなる犬が多いです。
ぎっこり腰が起こるのは環境が原因のことも
このぎっくり腰は腰だけでなく足が弱っていても起こりやすいと言われています。特に室内飼いの犬は次のような理由でぎっくり腰になることがあるため、飼い主さんは閑居をい直してみましょう。
■フローリング
フローリングの床は犬にとって滑りやすく、足や股関節に負担がかかりやすいです。犬は足の裏に肉球がついており、これを地面にしっかりと吸着させることで歩いたり走ったりしています。
しかし、フローリングのような表面がツルツルの場所は肉球がうまく吸着できず、滑って踏ん張りが効きません。フローリングを歩くたびに足で踏ん張って上に蹴り上げるという基本動作が上手くいかないことから、足や腰に負担がかかるのです。
■ソファや階段などの段差
犬は高い場所からの上り下りでも腰や足に大きな負担がかかっています。室内飼いの場合は、階段の上り下りをすることが多く、高い段差を登ろうとするときに腰を痛めてしまう犬も少なくありません。
また、普段からソファで生活している家庭では犬がソファに上る、降りるという遊びを楽しんでいるところも多いでしょう。この動作こそ、飼い主が気づかないうちに犬の足腰に負担がかかり、ぎっくり腰を発症する原因になります。
■犬種によるもの
他にも犬種によってぎっくり腰を発症しやすいと言われています。ダックスフント、プードルなどの犬種は胴長で足が短いことから、関節が弱いです。そのため、普段室内で移動しているだけでも足腰に負荷がかかり、ぎっくり腰を始めヘルニアといった間接の病気を引き起こしやすいのです。
犬がぎっくり腰になったらどうするべき?
ぎっくり腰は何よりもしっかり安静して、体を無理に動かさないことが治療になります。そのため、犬がぎっくり腰になったら慌てて抱き上げたりせず、寝床を作ってそこに寝かせてあげましょう。
また、このときすぐに病院へ連れて行くのは犬の体に負担がかかるので3日程度様子を見るのが大切。この3日間の間にぎっくり腰が悪化したり、他の目立った体調不良が表れたりしたら、動物病院へ連れて行って検査を受けさせましょう。
ぎっくり腰は筋や骨格から来る痛みですので、ほとんどは3~4日程度で徐々に痛みが和らいできます。そのため、3日以上犬が動けなかったり食欲が戻らなかったりという状態があれば、他の病気である可能性も考えられるので、獣医による正しい判断が必要です。
ただし、ぎっくり腰の痛みがあまりにも強く、苦しそうにうめいていたり、何度も嘔吐を繰り返していたりといった症状が見られたら、動物病院で痛み止めを打ってもらうという方法もあります。
犬のぎっくり腰を予防するには?
■フローリングにカーペットやマットを敷く
フローリングのままだと犬が踏ん張れず、足腰に負担がかかってしまいますので、できるだけカーペットやマットを敷いてあげましょう。このとき、厚手のものにすると肉球が安定ししっかりと足を蹴り上げて歩くことができます。
■階段の上り下りをさせない
どうしても人用の階段は犬にとって負担が大きく、特に小型犬は上り下りをするだけで足腰の関節へ負荷がかかります。そのため、できるだけ階段の上り下りはさせないよう、一階に愛犬の居住スペースを作ってあげましょう。
また、事情があって二階へ連れて行きたいときは、飼い主が抱っこをしてあげるとぎっくり腰の予防につながります。
■ソファやイスの下に台を置く
ソファやイスがお気に入りで、頻繁に上り下りをするという場合はそこに適度な台を置いてあげましょう。何度か台を踏んでから下に降りるという動作をさせれば、ここを使った方が便利だと学習してくれますよ。
しかし、中には踏み台を付けても使ってくれない愛犬もいます。この場合はソファやイスを撤去するのがベストですが、難しい場合は低いソファやイスにするなど、できる範囲で高低差をなくしてあげましょう。
■肥満にさせない
体重が増えすぎても足腰への負担が増え、ちょっとした拍子にぎっくり腰になってしまいます。肥満はぎっくり腰だけでなく、生活習慣病や心臓病などのさまざまなリスクが上がるので、犬の適正体重を守るためにしっかりと運動をさせ、食生活に気を配ってあげましょう。
まとめ
もともと犬が暮らす環境と人が室内で暮らす環境には違いがあり、普段生活しているだけでも愛犬の足腰に負担がかかっている可能性があります。そのため、愛犬の負担を減らせる室内環境を整えてあげることがぎっくり腰の予防に。
特に小型犬は階段の上り下りだけでも足腰に負担がかかっているので、子犬のうちから近づかせないようなしつけも大切です。